診療のご案内

 

 

 

形成外科

傷の治し方

 

 

想像してください。いつも元気なまこと君は4歳。今日は泣きながら家に帰ってきました。友達と公園で遊んでいて転んでしまったそうです。てのひらと、両方の膝には砂にまみれた擦りむき傷ができていました。血はとまっているようです。さて、あなたがまこと君のお母さんなら、どうしますか?
1 消毒し、滅菌ガーゼをあてる。
2 水で洗った後、傷が早く乾くように何もあてない。
3 けがをしているので濡らさないように注意する。
4 病院に連れて行く。
                  
私がまこと君のお母さんなら、 1から3はすべて×。では、どうすればよいのでしょう。ケガの程度によっては病院に連れて行くことも必要ですが、自宅でも簡単にできる傷の応急処置をご紹介したいと思います。
〈用意するもの〉
シャワー、清潔なタオルまたはキッチンペーパー、食品用ラップ、
テープ。
〈方法〉
1 キズをシャワーでよく洗い、砂粒はなるべくとる。
2 タオルで拭く。
3 傷にラップをあててテープでとめておく。

たったこれだけです。浅い擦り傷なら3~5日できれいになります。傷からジクジクした液がたくさん出てくるならば、ラップの上からティッシュやガーゼをあて吸わせるようにしてください。交換は朝、夕2回ほどで十分ですが、傷からのジクジク(滲出液)が多い場合や、不潔になりやすい場所なら、回数を増やしてください。また、砂粒がとりきれない時、傷が深い時、さらに、傷が赤く腫れたり(炎症)、膿が出たりしたら(感染)必ず病院に行きましょう。

 
キズの「ジクジク」って?
さて、ここまで何度も「ジクジク」という言葉が出てきましたが、皆さんはどうしてキズが「ジクジク」するのかご存知ですか。実はこの「ジクジク」には、キズを治すために必要な「細胞成長因子」という物質がたくさん含まれているのです。この「細胞成長因子」はキズの周りの正常な皮膚から、新しい皮膚の再生(上皮細胞、線維芽細胞の遊走)を促します。ケガをした皮膚は、自分で傷を治そうと、ジクジクした液をだしているのです。ではこのジクジクを干からびさせてしまうと、どうなるでしょうか。「細胞成長因子」がうまく働かないので、新しい皮膚の再生が起こりにくくなるだけでなく、せっかく新しくできた皮膚の細胞も死んでしまいます。皆さんも、カサブタが出来て、ジクジクしなくなったけど、なかなかカサブタの下が治らなかったとか、カサブタをとったらまたジクジクを繰り返したとか、そんな御経験はありませんか。

湿潤療法とは?
そこで、この「ジクジク」を味方につける治療法(湿潤療法)が最近注目されています。 傷を乾かさないように、適度にしっとりした環境を作ることができる医療材料=創傷被覆材を用いた治療法です。創傷被覆剤には多くの種類がありますが、主には※ハイドロコロイドやアルギン酸、ポリウレタンフィルムという材料が用いられます。しかし、病院以外で入手するのは、なかなか難しいという現状。そこで今回、食品用ラップを用いて、簡単に傷に湿潤環境を作る方法をご紹介しました。「ジクジク」=自分で傷を治そうと体が出す浸出液(細胞成長因子)を味方につけて、傷をきれいに、早く治しましょう。

〈注意事項〉
この湿潤療法は全ての医師に認知されているものではなく、傷の状態によっては適さない場合もあります。担当の医師にご相談してください。※ハイドロコロイド:小さいサイズなら「傷を3倍早く治す」という歌い文句のバンソウコウや、「マメ、靴ズレ用」の商品として、一般の薬局でも購入することができます。

 
さらに湿潤療法に興味のある方は以下をご覧ください。
新しい創傷治癒  http://www.wound-treatment.jp/
ゴッドハンド輝 24巻 第178話「最新の傷跡」山本航暉
講談社コミックス ※講談社転用許可済み


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